マンション生活辞典
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防犯侵入犯罪 最近の傾向と手口

侵入窃盗・侵入強盗は、年間90,000件以上
警察庁のデータによると、侵入窃盗の認知件数は平成15年以降減少しているものの、平成26年でも94,761件。このうち半数以上が住宅で起こっています。1日当たり約132件もの住宅に対する侵入窃盗が発生しているそうです(戸建住宅含む)。
このうち、4階建て以上の集合住宅における侵入手段は「無締まり(無施錠)」「ガラス破り」が多いそうです。一方で戸建住宅と比較するとピッキング(特殊工具による鍵開け)による被害の割合は少ないようです。これは、オートロックにより各住居の扉まで自由に辿り着けないこと、住戸が隣接していることによる抑止効果が理由と考えられ、マンションの良いところと言うことができるでしょう。
代表的な侵入の手口 ドアからの侵入
- 無締まり
- 鍵をかけないままゴミ出しに…。そんな隙にも侵入されてしまいます。侵入した住戸だけでなく、バルコニーづたいに次々と同じフロアの住戸に侵入された事例も少なくありません。
- ピッキング・カム送り
- 合い鍵以外の用具(ピッキング用具)を使って、鍵のシリンダー部分を操作して鍵を開ける手口がピッキングです。カム送りは、特殊な道具を使って錠シリンダーを回し、鍵ケースの中にある デッドボルトを作動して鍵を開けてしまう手口です。
- サムターン回し
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ピッキングやカム送りなどと同じ『鍵開け』と呼ばれる手口です。ドアにドリルで穴を開けたり、ドアスコープを外して針金などを使って内側のサムターンを回して侵入します。手首が入るほどの穴を開けられて侵入された事例もあります。
- ドア破り
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ドアの隙間などにバールなどを差し込んだり、ドアノブをレンチプレイヤーなどで強引にねじり開けて侵入するなど、ドアの鍵を破壊する手口を言います。
バルコニーからの侵入
- バルコニー渡り
- まず、どこかの住戸に侵入した後、バルコニーづたいに次から次へと侵入します。最上階の住戸も屋上からバルコニーへ降りて侵入されることがあります。
- 窓ガラスの焼き破り
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窓ガラスは、驚くほど簡単な方法で、小さく静かに割ることができます。
- 住民の留守の時間帯を狙った空き巣
- ゴミ出しのタイミングや留守になる日・時間帯を綿密に下調べし、同じマンションで5、6戸まとめて狙いをつける計画的な犯行が目立っています。外国人窃盗団などは、見張り役・逃走車の運転手役など 組織的で手際の良いやり口で短時間に家具や電化製品などをごっそり持ち去ってしまうこともあります。
「最上階に住んでいるから」「しっかりと鍵をかけたから」「安全に十分気を使っているから」というつもりでも、私たちの想像を超える方法での侵入犯罪が、いつ起きても不思議ではないのが現実です。
巧妙な手口での侵入にも注意
大和ライフネクストには、多くの侵入犯事例が寄せられてきます。
たとえば、セールスマンを装った2人組。大柄の一人がドアの前に立ち、小柄の一人はその陰に隠れてドアの鍵を開ける。一見、きちんと入ってきた訪問者で、怪しい素振りさえ見せません。ドアから堂々と侵入してくる手口の一つ「カモフラージュ犯行」の典型的なパターンです。
玄関のカギを開けられたのに家人の遅い帰宅と勘違いし、現金や貴金属を盗まれたという例もあります。
マンションでは、防犯カメラの設置が一般的になっています。防犯カメラの主な役割は発見でなく、威嚇です。カメラを通じた映像は24時間録画されてはいるものの、防犯カメラがあるからといって犯罪の現場に管理員、警備員などがすぐに駆けつけられるわけではありません。
オートロックの玄関も、ちょっとした隙に部外者がマンションにお住まいの方と一緒に建物内に入ってしまうこともあります。
怪しい、と思ったら「どちらのお宅へご用ですか」と声をかけるだけで、犯罪を未然に防ぐこともできます。「お出かけは一声かけて、鍵かけて」。安全対策の充実とともに、この気持ちがいつの時代も基本になります。
防犯知識を再確認してみましょう
いつも警戒しているから大丈夫、と言う前に、ちょっと考えてみましょう。
その隙を、侵入犯は、虎視眈々と狙っています。
- ゴミ出しは数分、それくらいなら大丈夫では?
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侵入すれば5~10分程度で仕事を済ませてしまいます。ゴミ出しから戻ったあなたが侵入犯と出くわし、強盗に変身した侵入犯が…と考えてみてください。どんなときでも鍵をかけるのが鉄則です。
[事例]
鍵をかけずにゴミ出しから帰ってきたら、内側から鍵がかかっていた。本人は閉め出され、鍵を探しているうちにバルコニーづたいに同じフロアの6戸が被害に遭った。
- ドアにドリルで穴開け? 時間がかかるし、音もするでしょ?
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分厚い鉄板なら穴開けに時間もかかるでしょうが、ドアの鉄部分はわずか0.6ミリ程度。電動ドリルを使えば数十秒で、大きな音も出さずに開けることができます。
[事例]
キャップ式のサムターン回し対策をしていたにもかかわらず、手首が入るほどの穴がドアに開けられ金品やパソコンを盗まれた。
- バールなんかで本当に鍵を壊すことができるの?
- 頑丈な金庫もバールで開けられてしまいます。ドアの隙間に差し込まれたバールには、てこの原理が働いてその先端には2トンもの力が加わります。鍵は壊れなくてもドア枠が壊されてしまいます。
- バルコニーからの侵入は1階、せいぜい2階の住戸ぐらいまででは?
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植栽やフェンスを乗り越えての侵入なら被害の対象になりやすいのは1階住戸と考えられます。しかし、そのような侵入は通行人やマンションの住民から発見されやすい行為です。雨水管を5階あたりまで登っての侵入、屋上からの侵入、一度ドアから侵入し、隣戸へバルコニーづたいに侵入するなど、侵入行為が外から発見されづらい中層階、最上階も狙われています。
- 針金の網入りガラスは、なかなか割れない?
- 網入りなのは、火災時などにガラスの飛散を防止するためで、防犯のためではありません。しかも、ガラスの中に針金という異物が入っているので強度は高くなく、焼き破りや三角割りを防ぐことはできません。
- 侵入時間は、やっぱり夜なの?
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もちろん、発見されないために人気の少ない夜間の侵入も多いですが、実は朝8時から12時ごろまでも侵入犯罪が起きやすい時間帯。白ドロ(素人泥棒)といわれるケースでは、人のいる時間帯に忍び込んで発見され、強盗に変身してしまうなど最悪の事態に発展することもあります。
[事例]
暑いのでバルコニー側の窓を開けて就寝。夜のうちに居間に置いてあった財布を盗まれ、深夜のコンビニで200万円もキャッシュカードで引き出されてしまった。
近くのスーパーマーケットで買い物をしている最中に車の盗難に遭い、警察に盗難届を出して2時間後に帰宅。するとなぜか車は車庫に。住まいの中は家具を含めてほとんどの物が持ち去られていた…。
ドラマや小説の中のことではありません。実際にあったことです。
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